202　大金を持つ人

本当の大金を持つことになると、人の力だけではムリなんです。

人知を超えたもの、神さまというか、天というか、

そういうものによって、

大金を持つにふさわしい人を選んでもらわなければならないから。

たとえば、車に乗って道を走っているとき、

だれかがこちらの車線に入ろうとする。

こんなとき、入れまいとしてがんばっている人がいるよね。

そういう人を、神さまが選ぶだろうか。

神さまが選ぶのは、ニコッて笑って、ブレーキをかける人なんです。

大金を持つ人は、天に味方してもらえる人。

商人が魂たましいを向上させて、正しい商売のやり方をしていると、

神さまは、報ほう酬しゅうを与えてくれる。

それが儲もうけなの。

儲けは神さまがつけてくれた成績表です。

商人の頭は、打うち出での小こ槌づちなんです。

深々ふかぶかと頭を下げているとお金が懐ふところに入り込んで、

いい考えも出てくるもの。

ただ、頭を下げていただけではダメ。

プロの商人は、「私はプロだ」と覚悟を決める。

そして、深々と頭を下げるから、頭が打出の小槌になるんです。

サラリーマンだって同じだよ。

商人には、いろんなことが好きになる努力が必要なんだよ。

仕事を好きになる努力。

商品を好きになる努力。

お客さんを好きになる努力。

こんなふうに、いろんな努力がいる。

でも、人間は好きになる努力ならできるんだよ。

好きになっちゃえば、商売も楽しく、

わくわくしながらやれるようになる。

だって、好きな物を好きな人に勧めているんだからね。

こんなに楽しいことはない。

だから、だれでも好きになる努力できるんだよ。

最初に商売始めるときには、１円でもムダ遣いをしないでやる。

たとえば、看板は段ボール、広告は手書き、事務所は自宅で構わない。

商売の目的は、儲けを出すことだから、

出金をいかに削るかにかかっている。

儲けが出たら、その金額の範囲で次の出資を考えるんです。

商人には、笑顔しかないんです。

怒った顔もなければ、泣いた顔もない。

役者なんて、いろいろな役をやらなければならないんだよ。

商人はワンパターンでいいの。

それがなぜできないだよって。

商人は、笑顔しかないんだよ。

「授業中、しゃべってばかりいて、しようのない子だね」

と怒られてばかりいた人は、おしゃべりが得意なんです。

人を楽しませて、おしゃべりができる人、

それ商人の世界では、才能なんです。

お客さんに、ものすごく好かれる、いい商人になる。

商人は商人らしく振る舞わなくてはね。

商人としての基本的態度は、人に好かれること。

笑顔で人に接すること。

楽しい雰囲気を作ること。

謙虚さや感謝の気持ちを持った言動を心がけること。

お客さんは、楽しいことがあると思うから来るんです。

だから、24時間いつも、商人でいなければね。

商人は、しゃしゃり出たことをしてはいけない。

知っていることも、知らないふりをする。

そうすれば、穏便なんです。

商人は、お客さんに物を買っていただく。

誠実な人だなと思ってもらえばいいんだよ。

商人から、いちいちものを教わりたいと

思っている人は少ないんだよ。

お客さんは、自分が一番偉くなりたいの。

日本で商売する場合にだけ、力を発揮する特別な神さまがおられます。

日本には、「みなさま」という神さまが住んでいるんです。

お客さんは、ただ「いい商品ですよ」と言っても買わない。

勧めるときには「みなさま」という言葉を入れないと買おうとしない。

「みなさま、こうされていますよ」

「みなさまに喜ばれていますよ」

と、「みなさま」という神さまの力を借りないと、

売れないようになっている。

これはお客さんに、安心感を与える言葉なの。

誰かに「繁はん盛じょうしてますね」と言われたら、

「おかげさまで」と答える。

「いい商品だね」と言われたら、

「おかげさまで」と言わなきゃいけない。

何でも「おかげさま」のおかげ。

どんなにほめられても「おかげさまで」と言って、

決して威張らない。

これは六法全書には書いていないけど、

日本に住んでいる大事な神さま。

日本で最大の神さまは、

「みなさまのおかげさま」なんです。