84　ワシは運が強い　

どんな境きょう遇ぐうに直面しても、

「面倒めんどうなことを背負っても、愚痴ぐちや泣き言を言わない。

それどころか、その境遇に感謝できるタイプ」

が存在します。

その代表には、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんがいます。

松下幸之助さんは、父親が米相そう場ばで失敗して以降、

小学校を中退し、奉公ほうこうに出されました。

兄弟を結核けっかくで次々に亡くし、

松下さん自身も「肺せんカタル」を患ってしまいます。

お金も、家族も、学問もない状況に直面しながら、

松下さんは、決して絶望ぜつぼうすることはありませんでした。

それどころか、

一般的には「不幸でかわいそう」と

思われてしまう状況に追い込まれても、

「ワシは運が強い。ワシは運が強い。ワシほど運が強い人間はいない」

と何百万回も言い続けていたのです。

「大学に行かなかったから、わからないのが当たり前。

だから、人に尋たずねることができた」

「体が弱かったから、仕事を人に任せようと思った。

その結果、人が育ち、感謝が育った」と……。

現象はゼロ。

それに対して評価をするのは「自分自身」です。

松下さんは「問題をツイてる」ととらえた。

「神様」は、「その人がいつも口にしている言葉」を

「もっと言わせてあげよう」とします。

これが宇宙の法則。

したがって「神様」は、

「ツイてると感じることを、もっと降らせてあげよう」

としたのでしょう。

• 「感謝の心が高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく」
• 「逆境ぎゃっきょうもよし順境じゅんきょうもよし。要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことである」
• 「どんなに悔いても、過去は変わらない。どれほど心配したところで、未来もどうなるものでもない。今、現在に最善を尽くすことである」

（『松下幸之助　一日一話』・『道をひらく』・『商売心得帖』松下幸之助著　PHP研究所より引用）

これらはすべて、松下幸之助さんが生前に残した言葉です。

宇宙の法則に気づき、「神様」を使いこなしていたのかもしれません。