263　人生は、ひとりより一緒がよい

精神的に最大のストレスは、孤独だと言われています。

「ひとりのほうが気楽でのびのびできるよ」という人も時々いますが、

そのような人でさえ、完全な孤独の中では生きられないのではないでしょうか。

以前、招かれてアイルランドのダブリン郊外に泊まったときのことです。

ホテルは最上級のロイヤルルームという歓待ぶりで、

その部屋の広さたるや、王侯貴族にでもなったようでした。

最初のうちは、好奇心満々で楽しんでいた私ですが、

夜になるにしたがって、ひとりでそこにいるのが苦痛になってきました。

というのも、そのロイヤルルームは想像を絶して広く、

風呂など1０人くらい入れそうな大きさなのに、そこにいるのは私ひとり。

ホテルの周囲にはひっそり静まりかえつた森が広がるばかりでした。

その森の奥からしんしんと孤独が自分を包み込んでいくようで、

私はすっかりまいってしまったのです。

その日はまんじりともせずに一いち夜やを明かしました。

このときほど、日本に帰れば妻がいてくれることに感謝したことはありませんでした。

家族はもとより、友人たちにもどれほど助けられてきたかわかりません。

彼らが問題を解決してくれたり、

何か手助けをしてしてくれるわけではなくても、

そこにいてくれて、話をしたり、おいしい食事やお酒をともにするだけで

つらさや悲しさがいつの間にかラクになってくるのです。

充実した人生を望むならば、ぜひ気の合う友人や伴侶を得て、

その人たちを心から大切にしてください。

喜びを分かち合う人がいるというのは、素晴らしいものです。