目次
1 今日のパワーメンターと著書
今日は、オザビエル(私)が、
明治大学文学部教授
齋藤 孝(さいとう たかし)さんの著書
『齋藤孝の絶対幸福論』から学んだ
多くの人に喜んでもらえる
「パワーフレーズ」をお届けします。
2 日本の浮世絵職人
美を追求するという点で、
芸術家とは少し違ってバランスがとれているのが、
日本の職人だと思います。
古代ギリシャが選ばれし人々だとすると、
日本の職人は普段の生活に結びついているので、
より一般的に幸福だったといえるでしょう。
それをゴッホが評価していて、
ゴッホは日本の職人のようになりたがっていました。
日本の浮世絵職人は、個人ではなく、仲間で仕事をし、
無名なのにいい仕事をしている。
ゴッホはそういう職人仲間の村のようなものを作りたがって、
ゴーギャンも誘ったのですが、結局うまくいかなかったという話があります。
浮世絵職人の場合、
名を残したいとか、芸術家になりたいとかは思わなかったでしょう。
彼らの仕事は日常の生活の中にあり、
それは桶を作るのとあまり変わりません。
版木を作る人や刷り師など、
多くの人がいろいろな職人仕事を分担して作品を売る。
そういう中で美を追求することに、
ゴッホが憧れたののは面白いと思いますが、
それは働くことに生き方の美を見いだしていたからではないでしょうか。
浮世絵職人は、浮世絵という芸術作品を描いているのだけれど、
広く売買されて仕事になっていて、普通の生活が成り立つ。
しかも、仲間がちゃんといる。
ゴッホはそのようになりたいと憧れ、
弟への手紙などにその旨をつづっているのです。
職人仕事をすることで、人々の生活に貢献できるというのは、
日本人の1つの幸福の形だったと思います。
3 「手に職」は、日本人が長く持っている幸福感の主流のスタイル
だから、いまも日本人は職人仕事に幸福を見いだしたいようで、
たとえば職人歴50年ののこぎり職人が紹介されると、
「そういう生き方はいいなぁ」とほれぼれしてしまうところがあります。
逆に、金融関係のディーラーで瞬時に儲けたという人の話を聞くと、
「ちょっと違うな……」といった感想を抱きます。
ディーラーも一種の職人かもしれませんが、
レオナルド・ディカプリオが主演した映画
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などを観ると、
そうしたあぶく銭のようなものを求めても、
ろくな結果にならないとわかります。
1980年代後半から1990年代初頭の
日本のバブル時代にいい思いをした人もいますが、
もう少し地に足がついた幸福感を求めたほうがいいのでしょう。
いずれにしても、自分に「手に職」があり、
役に立ってまわりの人が喜んでくれ、自分自身もうれしいというのが、
日本人が長く持っている幸福感の主流のスタイルだと思います。
いまも、たとえばパティシエになりたいという人は多い。
お菓子職人がなぜいいかというと、多くの人に喜んでもらえるからです。
パティシエになるには厳しい修行が必要ですが、
人を幸せにするプロフェッショナルな仕事であり、
成功すれば金銭的にも恵まれるでしょう。
4 オザビエルの願い
「手に職」があり、役に立ってまわりの人が喜んでくれ、
自分自身もうれしいというのが、
日本人が長く持っている幸福感の主流のスタイルです。
最初は大きな組織の中で「手に職」をつけることができ、
熟練してきたら(退職したら)、自分でさらに磨くとよいでしょう。
必ずや、名人や国宝級になります。
プロ野球選手や大相撲の力士さんたちも、
まわりの人がたくさん応援してくれます。
自分に合った「手に職」を身につけ、
幸福を手に入れることを願っています。
出典 『齋藤孝の絶対幸福論』 齋藤 孝(さいとう たかし) 発行所 実業之日本社 画像はヤフー検索から