※ 画像 「裁判員制度」最高裁判所 から
これまでの裁判は、検察官や弁護士、裁判官という法律の専門家が中心となって行われてきました。
しかし、専門的な正確さを重視する余り審理や判決が、国民にとって理解しにくいものであったり、一部の事件とはいえ、審理に長期間を要する事件があったりして、そのため、刑事裁判は、近寄りがたいという印象を与えてきた面もありました。
そこで、1999(平成11)年度以降検討が進められた司法制度改革の中で、国民の司法参加の制度の導入が検討されました。それは、裁判官と国民から選ばれた裁判員がそれぞれの知識経験を生かしつつ、一緒に判断することです。そして、より国民の理解しやすい裁判を実現することができるとの考えのもとに、裁判員制度が始まることになりました。
2 裁判員制度
裁判員制度は、2009(平成21)年5月21日に始まりました。
この制度は、国民の中から選ばれる裁判員が刑事裁判に参加する制度です。
裁判員は,法廷で行われる審理に立ち会い、裁判官とともに被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にするのかを判断します。
◇ 裁判員の仕事や役割
裁判員に選ばれたら,裁判官と一緒に,刑事事件の法廷(公判といいます。)に立ち会い,判決まで関与することになります。
証拠をすべて調べたら,今度は,事実を認定し,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどんな刑にするべきかを,裁判官と一緒に議論し(評議),決定する(評決)ことになります。
評決内容が決まると,法廷で裁判長が判決を宣告することになります。
裁判員としての役割は,判決の宣告により終了します。
※ 画像 裁判員裁判の流れ 法務省
◇ 裁判員制度の対象となる事件(代表的なもの)
- 人を殺した場合(殺人)
- 強盗が,人にけがをさせ,あるいは,死亡させてしまった場合(強盗致死傷)
- 人にけがをさせ,死亡させてしまった場合(傷害致死)
- 泥酔した状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させてしまった場合(危険運転致死)
- 人の住む家に放火した場合(現住建造物等放火)
- 身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
- 子供に食事を与えず,放置したため死亡してしまった場合(保護責任者遺棄致死)
- 財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合(覚せい剤取締法違反)
◇ 裁判員の選ばれ方(裁判員制度)
- 地方裁判所ごとに,管内の市区町村の選挙管理委員会が,衆議院議員の選挙権を有する方の中から,くじで選んで作成した名簿に基づき,翌年の裁判員候補者名簿を作成します。
- 裁判員候補者名簿に登録されたことを通知します。(前年11月ころ)
- 事件ごとに裁判員候補者名簿の中から,くじで裁判員候補者が選ばれます。
- くじで選ばれた裁判員候補者には、質問票を同封した選任手続期日のお知らせが届きます。
- 最終的に事件ごとに裁判員6人が選ばれます。
さあ、基礎・基本の用語をしっかり覚えましょう。
◎ 基礎・基本の用語
〇 司法制度改革(しほうせいどかいかく)- 司法制度全般に関する改革
〇 裁判員制度(さいばんいんせいど)- 国民の中から選ばれる裁判員が刑事裁判に参加する制度
〇 裁判員(さいばんいん)- 2009(平成21)年5月から実施
〇 裁判官(さいばんかん)- 憲法や法律に拘束されるほかは,良心に従って,独立して各事件について判断を行う
〇 被告人(ひこくにん)- 犯罪の疑いをかけられ,検察官に起訴された人
A 87人に1人 B 870人に1人 C 8700人に1人 D 87000人に1人
☆ ふり返り
◇ ①~⑤に当てはまる言葉を答えなさい。
1 司法の機能を充実強化し,国民が身近に利用することができ,社会の法的ニーズに的確にこたえることができる司法制度を築いていくことが必要とされています(①改革)。
2 (②)制度は、2009(平成21)年5月21日に始まりました。
この制度は、国民の中から選ばれる(②)が刑事裁判に参加する制度です。
(②)は,法廷で行われる審理に立ち会い、(③)官とともに(④)人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にするのかを判断します。
💮 答え
① 司法制度改革(しほうせいどかいかく)
② 裁判員制度(さいばんいんせいど)
② 裁判員(さいばんいん)
③ 裁判官(さいばんかん)
④ 被告人(ひこくにん)
A 87人に1人 B 870人に1人 C 8700人に1人 D 87000人に1人
答え C 8700に1人
これで基礎学力バッチリです。